税引後でも配当が年100万超。住宅ローンの9割を払う

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税引後でも、配当が100万を超えた日

朝、いつものように配当管理アプリを開いた。

そこに出ていた数字は、1,010,081円。年間の配当が、税金を引かれたあとでも、初めて100万円を超えていた。

前の年は、税引後で約84.7万円だった。そこから一年で、ここまで来た。

正直に言えば、画面を見て「やった」と叫んだわけじゃない。声も出なかった。ただ、ひとつの数字が、俺の頭の中の別の数字とぴったり重なっていくのがわかった。

この配当は、毎月の住宅ローンの、もう9割を払える額だ。

俺にとって100万という数字は、贅沢の入り口じゃない。家を守る話だった。

俺の第一目標は、早期リタイアじゃなかった

家が完成したのは2016年11月だ。家族のための、俺の城。35年ローンを背負って建てた。

その翌年、2017年の夏。俺は現場で6メートルの高さから落ちた。脊髄を損傷して、あと1センチで動脈だったと、あとから知らされた。職人としての人生は、その日で終わった。

このとき、頭をよぎったのは家のことだった。住宅ローンには団信(団体信用生命保険)がついている。もし俺がそこで死んでいれば、団信でローンはきれいに消えた。家族には、ローンのない家だけが残ったはずだった。

でも俺は生きた。半身が動かなくなって、稼ぐ手段を失って、それでも生きた。だからローンは、まるごと残った。

不謹慎を承知で書く。退院してしばらく、俺は本気でこう思っていた。「やばい、生きてしまった」と。

だから俺の第一目標は、旅行でも、早期リタイアでもなかった。たったひとつ、これだ。

働けなくなった俺の代わりに、配当に家のローンを払わせること。

死んで消すはずだったローンを、生きて、配当に払わせる。

これが、俺が高配当株にすべてを賭けた本当の理由だ。

今、ここまで来た

数字を、正直に全部出す。

俺の住宅ローンは、月11万円。

これに対して、いまの配当(税引前)は月平均で約10.1万円。年間にすると121.2万円だ。

つまり、カバー率は約92%。完全にローンを配当が払いきるまで、あと月たった9千円分の配当を増やすだけのところまで来た。

税引後ベースで見れば、月8.4万円、カバー率77%。ここも隠さず書く。きれいな数字だけ出して信用を失うより、両方並べる方がいい。

完全カバーまで必要なのは、年あと約11万円の配当。これだけだ。

あと月9千円分の配当で、家のローンは配当が全部払う。

事故で人生が終わったと思った男の家のローンを、いまや株が9割肩代わりしている。我ながら、よくここまで来たと思う。

どうやって、ここまで近づけたか

派手な逆転劇は、ひとつもない。むしろ、出発点は情けないくらい正直な動機だった。

時系列はこうだ。2021年の夏にインデックス投資から入り、2021年末に米国ETF、2022年1月から日本の高配当株。たった4年の積み上げだ。

正直に書く。俺が投資を始めた頃は、米国インデックスが絶好調だった。値上がり益(キャピタルゲイン)を狙うこともできた。でも俺は、それが怖かった。「このまま上がり続けるのか?」が、どうしてもわからなかったからだ。失敗だけは、絶対にしたくなかった。

それ以上に、引っかかっていたことがある。妻のことだ。

大黒柱が事故で稼げなくなった直後に、その夫が「投資をやる」と意気込んでいる。妻は、その姿に不安を感じているようだった。当たり前だ。普通は怖い。俺は、ここで妻の信頼まで失うわけにはいかなかった。だから、無茶な投資なんて絶対にできない。何が安全で、何が危ないのか、必死に調べた。

たどり着いた答えが、高配当株だった。きれいごと抜きで言う。万が一株価が下がっても、配当だけはもらえる。そして何より——下がっても「でも配当はあるから」と、妻に言い訳ができる。我ながら不純な動機だ。笑ってくれていい。でも、これが俺の本当の出発点だった。

俺が配当を選んだのは、賢かったからじゃない。妻の不安に応えるには、無茶な投資はできなかった。それだけだ。

種銭は、現金2,000万円。だが、これは俺が必死に貯めた金じゃない。

あの事故のあと、俺は入院中のベッドの上で、商売を畳むことを決めた。もう現場には戻れない。退院してから、廃業の手続きを進めた。そうして商売を終わらせたとき、結果として手元に残っていたのが、この2,000万だった。

正直に言う。俺は、コツコツ貯金できるような男じゃなかった。稼ぐのは得意でも、守るのと残すのは、てんでダメ。だから「ヘタゴリラ」だ。この2,000万も、自分で計画して貯めた金なんかじゃない。商売を畳んだら、たまたま残っていた——ただそれだけの金だった。

自分で貯めた金じゃないからこそ、よけいに重く感じた。稼ぐ手段を失った人間にとって、たまたま残ったこの現金は、最後の命綱だ。それを株に変えるのは、やっぱり怖かった。

だから生活防衛の現金は別に残したうえで、この2,000万を、4年かけて恐る恐る株に入れていった。一度に動かすなんて、とてもできなかった。少し入れては相場を見て、また少し入れる。ビビりながら、現金を配当を生む資産に変えていった。それが本当のところだ。

その「必死に調べた」が、いまの土台になっている。一銘柄に依存しない分散、連続増配と業績の安定を重視した銘柄選び。種銭の2,000万に、その後の月収から少しずつ足して、たどり着いたのが取得額2,368万円、利回り5.12%という形だ。この5%は、勇んで積み上げたものじゃない。妻の不安に応えたくて、怖がりながら、それでも手を止めなかった4年の結果だ。(この4年の全記録は働けなくなった障害者が高配当株投資を始めて4年の全記録にもまとめた。)

そして効いてきたのが増配の力だった。何も買い足さなくても、持っている株が勝手に配当を増やしてくれる。実際、決算期には保有株が次々に増配を発表してくれた(この話は配当が勝手に増えていく「増配」の威力に詳しく書いた)。

一発逆転じゃない。妻の信頼を守りたくて、怖くて手が震えながらも株を入れ続けた4年が、ローンに追いついた。

繰上返済しなかったのは、これがやりたかったからだ

ここで、多くの人に言われたことがある。「現金があるなら、ローンを繰上返済しろ」と。

正直、繰上返済は魅力的だった。当時、手元の現金を返済に回せば、これから先に払う金利の総額が、300万円ほど減る計算だった。300万だ。小さい額じゃない。妻と「どうするのがいいのか」と、何度も話し合って悩んだ。

その状況で、俺は繰上返済じゃなく、投資を選んだ。妻は、心底びっくりしていたと思う。300万得する確実な道があるのに、夫はそれを蹴って、株を買い始めたんだから。

なぜしなかったのか。理由は単純だ。その現金を株に回して、配当でローンを払う方が、長い目で見て強いと考えたからだ。

繰上返済は、お金が手元から消える。借金は減るが、その金は二度と戻らないし、何も生まない。

一方、配当戦略は違う。同じ金を株に変えれば、その金は働き続けて、毎月ローンの分を稼いでくる。繰上返済のように消えてなくなるんじゃなく、配当という現金を生み続けてくれる。

繰上返済はお金を消す。配当は、お金にローンを払わせ続ける。

ただし、ここだけは絶対に誤解しないでほしい。株の元本は、減ることがある。繰上返済で減らした借金は確実だが、株は値下がりするリスクが常につきまとう。俺は値下がりしにくい、業績の安定した連続増配の銘柄を選んできたつもりだ。それでも正直に言えば、買ってからずっと含み損のままの銘柄もある。元本は保証されないし、配当だって減配や無配のリスクがゼロじゃない。だから俺は、この方法を誰にでも勧める気はない。

そして今。あのとき投資を始めた俺を、妻は褒めてくれる。300万を蹴った判断は、間違っていなかった。これ以上の答え合わせはない。なぜ俺が繰上返済を選ばなかったのか、その思考の全部は住宅ローンを繰上返済しなかった理由に書いたので、合わせて読んでほしい。

ただ、今になって、ひとつ怖いことを思う。もしあのとき、妻に反対されていたら——俺は投資を始めていなかった。配当が家のローンを払うこの未来は、丸ごと存在しなかった。300万得する確実な道を蹴る判断を、妻が止めなかったから、今がある。

結局、これは俺ひとりの手柄じゃない。反対せずに、俺を信じて任せてくれた妻のおかげだ。そのことに、心から感謝している。

配当でローンを払う未来は、俺を止めなかった妻が作ってくれた。

その前に——まず自分の団信が「いざ」に降りるか確認しろ

ここまで読んで、こう思った人がいるはずだ。「自分は障害者でもないし、状況が違う」と。だが、金利が上がってきた今、変動金利でローンを借りていて、手元に現金がある——そろそろ繰上返済を考えている、という人はいないか。

先に、はっきり書いておく。繰上返済は、賢い選択だ。利息が確実に減る。リスクがない。金利が上がっている今なら、なおさら理にかなっている。もし俺が今、何も持たない状態でこの状況に置かれたら、正直、繰上返済を選んでいた可能性は高い。

そのうえで、俺がやったのは「第二の選択肢」だった。繰上返済で現金を消す代わりに、その金に配当を生ませて、ローンを払わせる道だ。でも、これを「投資の方が得だ」なんて、口が裂けても言えない。繰上返済は確実なリターン。配当戦略は、不確実なリターンだ。ここを混ぜちゃいけない。

そのうえで、俺がこの道を選べた理由のひとつが、団信だ。繰上返済をする一番の動機は、たいてい「万が一のとき、家族にローンを残さない」という安心だろう。だが、その”万が一”は、本来は団信が引き受けてくれるはずのものだ。俺の場合は、それが効かなかった。生きて、半身が動かなくなっても、当時のローンは消えなかった。

補足しておく。今のフラット35の「新機構団信」は、2017年10月以降に申し込めば、身体障害者手帳1級・2級でローン残高が消える。だが俺が借りたのは、その前だ。当時の団信は「死亡か高度障害」だけで、両下肢が動かなくなっても「高度障害」には届かなかった。制度が手厚くなる、ほんの少し前に、俺は落ちた。

だから、繰上返済か配当かを考える前に、まずやることがある。自分の団信が、いざという時に本当に降りるのかを、自分の目で確認することだ。団信が降りなかった顛末と、「今の制度なら降りる」という話、そしてこれから家を買う人がどう備えるべきかは、現場職人が障害になっても月20万もらえた保険の話に全部書いた。繰上返済か配当かで迷う前に、まずそっちを読んでほしい。

繰上返済か、配当か。その前に、まず自分の団信が「いざ」に降りるかを確認しろ。話はそれからだ。

なお、これから家を買う人で、固定(フラット35)か変動かで迷っているなら、フラット35か変動か。就業不能保険で考える第三の選択肢に、金利と保険料の実数で検証した。そっちも読んでみてほしい。

完全カバーの、その先へ

ローンを配当が払いきる日は、もう目の前だ。

でも、そこはゴールじゃない。ただの通過点だ。

次の目標は、ローンだけじゃなく生活費まで配当でカバーすること。年間配当200万円を狙う。

ローンが消えても、家族の生活は続く。長男はこれから一番金のかかる時期に入るし、双子もそのあとを追ってくる。62歳で俺の就業不能保険は切れる。その「収入の崖」が来る前に、配当という足場を組んでおきたい。(この収入の崖への備えは就業不能保険が切れる62歳に備えていることに書いた。)

突き詰めれば、俺が欲しいのは数字そのものじゃない。お金のことを、いちいち気にしなくていい自由だ。それが本当のゴールだ。

ローンの次は生活費。配当が増えるほど、俺は自由になる。

同じ立場の人へ

最後に、かつての俺と同じ場所にいる人に伝えたい。

体が動かなくなっても、稼ぐ手段を失っても、お金にだけは働いてもらえる。これは絶望の中で俺が見つけた、たったひとつの希望だ。

俺はもう、現場には立てない。請求書も切れない。それでも、株という名の部下たちが、文句も言わず毎月ローンを払ってくれている。

俺はもう稼げない。でも、俺の部下(配当)は働き続けてくれる。

知って、動いた人だけが得をする。それだけは、何があっても変わらない。

📖 俺のこれまでの全記録を読みたい人へ
元職人→廃業→障害→どん底→投資で4,000万円——
この軌跡を一本のストーリーとしてまとめた
それでも俺は生きている ― ヘタな仮設屋の、笑えるけど刺さる30年 ―」をnoteで公開中です。
👉 それでも俺は生きている ― ヘタな仮設屋の、笑えるけど刺さる30年 ―をnoteで読む

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この記事を書いた人

元・建設業の個人事業主。現在は障害年金・労災年金・就業不能保険を活用しながら、配当金を軸に“無理のない自立生活”を目指す50代男性です。
配当投資、住宅ローン、保険の見直しなど、障害と向き合う中で学んだ「お金と生き方」のリアルを発信しています。

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