配当を確定申告する俺が、国保料の板挟みで出した結論

ネットで配当と税金の話を調べると、こう書いてある。「障害年金は非課税。課税所得がないなら、配当は確定申告しなくていい」。

俺はこれに、ずっと違和感があった。なぜなら俺は、特定口座の配当を毎年ちゃんと確定申告しているからだ。

年100万円を超える配当(2026年は税引前で約121万円、税金を引かれた手取りでも約101万円)を受け取り、障害年金1級で、国民健康保険に入っている。そんな俺が、なぜ「申告しなくていい」と言われるものを、わざわざ申告するのか。そして申告したことで、何が起きたのか。今日はその話を正直に書く。

※先に断っておく。税金と国保料の計算は自治体・個人の状況で大きく変わる。この記事は俺の判断の記録であって、万人の正解ではない。最終的には必ず自分でシミュレーションし、役所や税理士に確認してほしい。

目次

なぜ俺は、申告しなくていい配当をわざわざ申告するのか

理由は2つだ。所得税が戻ってくるから。そして配当控除が使えるから。

特定口座(源泉徴収あり)の配当は、受け取る前に約20%(所得税15.315%+住民税5%)が天引きされている。何もしなければ、それで課税は終わりだ。

でも俺の場合、収入の柱は障害年金・労災年金・就業不能保険——全部、非課税だ。つまり課税所得がほとんどない。就業不能保険が62歳で切れることへの備えは別の記事にまとめた。そこに配当だけを総合課税で申告すると、低い税率が適用される。源泉徴収で天引きされた15.315%との差額が、還付として戻ってくる。

さらに「配当控除」が乗る。日本株の配当を総合課税で申告すると、配当所得の一定割合が税額から直接引かれる仕組みだ。課税所得が低い俺のような人間にとって、これは効く。

ひとつ補足しておく。この配当控除が使えるのは日本株の配当だけだ。俺も持っている米国ETF(VYMなど)の配当には付かない。だからここで言っているのは「日本株を総合課税で申告して取り戻す」話だと思ってほしい。

だから俺は申告する。天引きされた税金を、取り戻すために。障害年金が非課税であることが、配当を非課税で受け取れる権利とは限らない。むしろ課税所得が低いからこそ、申告した方が得になる——これが一般論と俺の現実が食い違う一つ目のポイントだ。なお、配当を申告しても障害年金そのものが減ることはない。その仕組みは株で年100万の配当をもらっても障害年金が止まらない理由に書いた。

でも、申告した瞬間に上がるものがある——国保料だ

ここからが本題だ。

所得税は戻る。でも、配当を総合課税で申告すると、その配当所得が国民健康保険料の算定基礎に乗る。

国保料は前年の所得で決まる。障害年金や労災年金は非課税だから算定に入らない。だから本来、俺の国保料は安く済むはずだ。ところが配当を申告すると、その分が「所得」として加算され、保険料が上がる。

つまり俺は、「所得税を取り戻す」かわりに「国保料が上がる」という板挟みの中で判断している。片方だけ見て「申告しろ」とも「申告するな」とも言えない。両方を天秤にかけないと、本当の損得は出ない。

2024年から、おいしい裏技が使えなくなった

少し前まで、賢い人はこうしていた。「所得税は総合課税で申告して還付を取る。住民税は申告不要を選んで、国保料への影響を避ける」——所得税と住民税で別々の課税方式を選ぶ、合わせ技だ。

これが2024年度(令和6年度)から使えなくなった。制度が変わり、所得税と住民税の課税方式を一致させなければならなくなった。所得税で総合課税を選んだら、住民税も自動的に総合課税。配当所得が住民税にも、そして国保料にも反映される。

だから今は、「還付は取りたい、でも国保料は上げたくない」という都合のいい選択ができない。申告するなら、国保料が上がることも受け入れる。その覚悟が必要になった。俺がこの記事を書こうと思ったのは、この変更を知らずに「とりあえず申告」している人が損をしているかもしれないと思ったからだ。

俺の天秤——それでも申告を選んでいる

正直に書く。俺は今のところ、申告を選んでいる。

課税所得がほぼゼロの俺の場合、配当を総合課税で申告して還付+配当控除で取り戻せる額が、国保料の増加分を上回ると判断しているからだ。源泉で取られた15.315%が戻ってくるインパクトは大きい。

ただし、これは「課税所得がほとんどない」という俺の特殊な条件があってこそだ。働いて給与所得がある人、事業所得がある人は、配当を足すと税率が上がって、申告がかえって損になることもある。だから一般論で「申告しろ」とは絶対に言えない。

大事なのは、還付額と国保料増加額の両方を、自分の数字で並べてみること。役所の国保窓口で「配当所得が○○万円増えたら保険料はいくら上がるか」を聞けば、概算を教えてくれる。還付額は源泉徴収票と課税所得から計算できる。この2つを並べて、初めて答えが出る。障害年金受給者の税優遇の全体像は「障害者は優遇されすぎ」と思う人へ——1級当事者が恩恵の実額を全部出すにもまとめている。

そして、この悩み自体が消えていく——NISAという出口

ここまで「申告するか、国保料が上がるか」という板挟みを書いてきた。でも実は、この悩みそのものを消す方法がある。NISAだ。

NISA口座で受け取る配当は、完全に非課税だ。源泉徴収もされないから、そもそも取り戻す税金がない。申告も不要。だから国保料の算定にも一切乗らない。還付と国保料の板挟みが、最初から存在しない。

俺は今、特定口座からNISAへの移行を少しずつ進めている。日本の高配当株のうち、もう3分の1くらいはNISAに乗ってきた。NISAの比率が増えるほど、この「申告するかどうか」の悩みは小さくなっていく。新しく買う高配当株は、まずNISA枠から埋める。これが今の俺の方針だ。NISAをどう使い倒すかは障害者こそNISAを使い倒すべき理由と俺のやり方に詳しく書いた。

まとめ:申告する・しないより、自分の数字を並べろ

もう一度言う。「障害年金が非課税だから申告するな」という一般論を、鵜呑みにしないでほしい。

俺は申告している。課税所得が低いから、還付と配当控除で取り戻せる。でも申告すれば国保料は上がる。2024年からは住民税だけ逃げる裏技も使えない。だから還付額と国保料増加額を、自分の数字で並べて判断するしかない。

そして、新しく買う分はNISAへ。そうすれば、この悩みは時間とともに小さくなる。

制度は、知って、計算した人間だけが得をする。配当が増えてきた人ほど、一度この天秤を自分の手で量ってみてほしい。

→ 配当が年100万円を超えた実感と経緯はこの記事に書いた。

📖 俺のこれまでの全記録を読みたい人へ
元職人→廃業→障害→どん底→投資で4,000万円——
この軌跡を一本のストーリーとしてまとめた
「それでも俺は生きている ― ヘタな仮設屋の、笑えるけど刺さる30年 ―」をnoteで公開中です。
note: hetagorilla

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この記事を書いた人

元・建設業の個人事業主。現在は障害年金・労災年金・就業不能保険を活用しながら、配当金を軸に“無理のない自立生活”を目指す50代男性です。
配当投資、住宅ローン、保険の見直しなど、障害と向き合う中で学んだ「お金と生き方」のリアルを発信しています。

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