正直に言う。
俺はずっと、配当金を「詐欺に近い何か」だと思っていた。
「寝ててもお金が入る」「株を買って放っておくだけで収入になる」——そんな話を聞くたび、頭の中に「ポンジスキーム」「情報商材」という文字が浮かんだ。うまい話には必ず裏がある。現場一筋で体を張って稼いできた人間として、それが信条だった。
でも、事故が起きた。
障害等級1級。長期間、まともに働けない体になった。
「稼ぐ」という、自分の唯一の手段が、突然消えた日のことは、今でも忘れられない。
最初の380円が、俺の疑いを溶かした
恐る恐る、少額で買い始めた高配当株。ある日、証券口座に振り込まれた金額を見た。
380円。
笑うかもしれない。たった380円だ。ランチ一食にもならない。
でも俺は、しばらく画面を眺めたまま動けなかった。
これは給料じゃない。バイト代でもない。自分が「何もしていない間」に、持っている株が働いて稼いできたお金だった。
体が動けなくても。現場に出られなくても。寝ていても——お金は、来た。
その380円は、金額以上のものを俺に運んできた。「まだ、人生を立て直せるかもしれない」という、小さな、でも本物の希望だった。
今、年間121万円の配当が俺の口座に入ってくる
あの日から少しずつ学んで、少しずつ買い足して、少しずつ実感を積み重ねた。
そして今、俺が受け取る配当金は、年間約121万円(2026年・税引前。税引後でも100万円を超えた)になった。実際に持っている全銘柄は、含み損も隠さず別記事で全部公開している。
生活費のすべてをまかなえるわけじゃない。でも、この収入が何を変えたかというと——配当が変えたのは、金額じゃない。「選べるようになった」ことだ。
旅行に行ける。妻に何かしてあげられる。節約が「我慢」じゃなくなる。心に、余白が生まれた。
俺の住宅ローンは月約12万円だ。配当金がいつかこの額に届いたら、「家にただで住んでいる感覚」になると思っている。それはゴールじゃなく、通過点——でも、その通過点が見えているだけで、毎日の重さがまるで違う。
「怪しい」と思っていた俺が、怪しくないと断言できる3つの理由
かつての俺と同じ疑問を持つ人のために、正面から答える。
① 企業が実際に稼いだ利益を分配している
配当金は、企業が事業で稼いだ利益の一部だ。三菱UFJが融資で稼ぎ、東京海上が保険料を集めて運用し、その結果として俺の口座に振り込まれる。誰かの損が誰かの得になる構造じゃない。企業が存続して利益を出し続ける限り、配当は続く。
② パチンコとは根本的に違う
パチンコは「マイナスサム」だ。参加者全体が損をして、胴元が儲ける仕組み。俺は20代に月5〜10万円溶かしながら、それに気づかなかった。高配当株は違う。企業が成長して利益を出せば、株主全員に利益が配分される。ゼロサムでもマイナスサムでもない。
③ リスクは「不確実性」であって「詐欺」ではない
減配・倒産・株価下落——これらは起きる。俺も経験した。でも詐欺との決定的な違いは、「情報がすべて公開されていること」だ。企業の決算・配当履歴・IRは、誰でも確認できる。嘘をついて金を集める詐欺とは、構造が根本的に違う。リスクを理解した上で選ぶ。それが投資だ。
障害者と高配当株は、実は相性がいい——その理由
これは、やってみて初めてわかったことだ。
通院とリハビリで時間が縛られている。体力や気力にムラがある。焦って資産を売り払いたくなる局面も、何度もある。
そんな状況でこそ、配当金は「株が自分の代わりに働いてくれる仕組み」として効いてくる。
自分が動けない日も、配当は振り込まれる。売らなくていいから、心が安定する。
受け取った配当は、基本は再投資に回して、住宅ローンを賄える額まで育てていく。でも、そもそも俺が投資を始めたきっかけは「趣味や家族に気兼ねなく使えるお金をつくること」だった。だから今も、配当は貯めるだけじゃない。これまでもらった配当の累計の範囲内なら、使いたい時に自由に使うと決めている。
実際、最近は車のカスタムに約300万円を使った。ただし株の元本には一切手をつけず、これまで積み上げた配当の累計に収めた。“資産そのもの”は減らさず、“資産が生んだ果実”で楽しむ。固定の生活費は年金と保険でまかなっているから、配当は「未来への仕送り」と「今を楽しむ自由」を、同時に作ってくれているんだ。
もちろん、痛い目にも遭ってきた——失敗も正直に書く
良いことばかり書くのは嘘になるので、正直に話す。
最初の大きな失敗は、足場会社の株だった。元職人として「現場を知っている」という理由だけで、ある大手の足場メーカーの株を約40万円分買った。その後、減配が続いた。3〜4万円の損を出して売った。そして、売った後に株価は上がった。教訓——「身近だから」というだけの理由で買わない。
含み損が15%を超えた銘柄を前に、「売るべきか、耐えるべきか」と夜中に悩んだこともある。高値掴みも、SNSの情報に踊らされた失敗も、一通り経験した。
その反省から、今は以下を徹底している。
- 30銘柄以上に分散する(1銘柄の減配ダメージを最小化)
- 利回りが高すぎる銘柄(8%超など)は、まず疑ってかかる
- 企業のIRと、過去5〜10年の配当履歴を、自分の目で確認する
- 「身近だから」「話題だから」という理由だけでは買わない
初心者には、米国ETF(VYM・HDV・VIG・SPYDなど)から入るのも特に勧めたい。個別銘柄の目利きが難しければ、まず「分散されたパック」から感覚を掴むのが、遠回りにならない道だ。
月1万円から始めるなら——具体的な入り口
「怪しくないのはわかった。でも、いくらから始めればいいんだ」という人へ。
月1万円でいい。1株から、誰でも株主になれる。SBI証券や楽天証券なら、S株(単元未満株)で1株ずつ買える。たとえば三菱UFJは1株3,200円前後(2026年6月時点)。月1万円なら、こうした数千円の銘柄を毎月1〜2株ずつ積み上げていける。株価は日々動くから、買う前に最新を確認してほしい。
俺が勧めるのは「負けたつもり積立」だ。かつてパチンコで月5万円負けたつもりで予算を組み、そのうち1万円は毎月必ず何か1株買う。残りは買い時まで貯めておく。高配当株は、毎月機械的に積み立てるより、株価が下がったときに買い増す方が効果的だからだ。
具体的な始め方と銘柄の選び方は、こちらに詳しく書いた。
→ 月1万で始める高配当株——20代の俺が知りたかったこと
→ 【2026年版】初心者でもできる高配当株投資5STEP
380円は、今もそこにある——あの日の自分へ
働けなくなったとき、俺には何もなかった。技術も、健康も、稼ぐ手段も——全部、一度失った。
でも今、配当金という仕組みが、「自分の代わりに稼いでくれる資産」を育ててくれている。それは老後の安心であり、今の自由であり、もう一度立ち上がるための武器だ。
もしこの記事を読んで「少し面白そうかも」と思ったなら、まずは証券口座に、初めての配当が振り込まれる日を目指してみてほしい。
金額はいくらでもいい。その小さな数字が、あなたの中の何かを変えるかもしれない。俺にとっての、380円のように。
📖 俺のこれまでの全記録を読みたい人へ
元職人→廃業→障害→どん底→投資で4,000万円——
この軌跡を一本のストーリーとしてまとめた
note連載「それでも俺は生きている ― ヘタな仮設屋の、笑えるけど刺さる30年 ―」を公開中です。
ブログではバラバラに書いてきた話が、時系列でつながります。
👉 note: hetagorilla
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