障害者1級の俺が、受けている優遇を正直に全部書く

「最近どう?体調は?仕事は?」と聞かれるたびに、俺は少し言葉を選ぶ。

おそらく周りは思っているだろう。

障害者になって、さぞお金に困っているだろうと。

以前の収入を知っている人間ならなおさらだ。

当時の生活水準を知っているからこそ、今は厳しいに違いないと思っているはずで、だから心配してくれる。

そして、聞きたくても聞けない空気もある。

その気遣いが、いつも絶妙なのだ。

実際は違う。

仲の良い人間、心を許した相手に収入の話を振られても、俺の方が迷ってしまう。聞かれれば答えるが、自分からその話には近づかない。

理由はわかっている。自分が受けている恩恵が、正直「多すぎる」と感じているからだ。

目次

まず、俺のことを簡単に

40歳まで建設業の一人親方として働いていた。

事故で脊髄を損傷し、障害者手帳1級を取得。医者には「歩けない」と言われた。

それでもクラッチ杖で歩くことをやめていない。

正直に言うと、理由は2つある。

1つは「いつか普通に歩けるかもしれない」という希望を手放したくないから。

もう1つは、車椅子の方が周囲に気を遣ってもらえて楽な部分が多いとわかっているからこそ、あえて使わないようにしている。

全てに甘えが入る感覚があるし、歩くことを諦めた自分になりたくない。

クラッチ杖でも障害者だとわかる見た目にはなるが、車椅子ほど視線を感じないのも事実だ。

格好いい理由ではないかもしれないが、それが今の自分の正直なところだ。

収入は障害年金、労災年金、就労不能保険で成り立っており、これらはすべて非課税だ。


受けている優遇を、正直に全部書く

① 収入が非課税

障害年金・労災年金・就労不能保険、合わせて月50万円前後が非課税で入ってくる。同じ金額を給与で受け取ろうとすれば、額面は70万円以上必要になる計算だ。所得税・住民税・社会保険料を引かれる前の数字がそのまま手元に残るのだから、体感で30〜40%は違う。

「非課税」という2文字の重さを、俺はここ数年でやっと実感した。

② 配当金の税金もほぼ取り戻せる

俺は高配当株投資をしており、国内株の配当金を受け取っている。特定口座では約20%の税金が源泉徴収されるが、確定申告で「総合課税」を選択すると「配当控除」が適用される。

俺のケースでは障害年金・労災年金・就労不能保険がすべて非課税のため、課税所得はほぼ配当金のみになる。課税所得が低いほど配当控除の恩恵が大きくなる仕組みなので、結果として源泉徴収された税金のほとんどを還付してもらえる。

投資家としての税負担が、障害者であることで大幅に軽くなる。これは知らなかったら完全に損していた話だ。

③ 税制優遇・各種割引

障害者控除により所得税・住民税が大幅に軽減される。自動車税も減免対象だ。

割引面では、公共交通機関の運賃割引、映画館・美術館・レジャー施設の入場料割引、NHK受信料の免除がある。さらに障害者手帳を登録したETCカードで高速道路料金が半額になり、対象の公共駐車場でも割引が受けられる。車での移動が中心の俺にとっては、毎月確実に恩恵を感じる部分だ。

正直に言う。これらをいつの間にか「当たり前」だと思っていた自分がいる。


健常者の「風当たり」の根っこにあるもの

SNSで障害者への批判を見かけることがある。優先席、駐車場、公共施設での出来事が炎上する。

最初は「なぜそんなに冷たいのか」と思っていた。

でも自分の収入と優遇を一度棚卸ししてみると、少し見え方が変わった。

考えてみてほしい。

低賃金で懸命に働きながら、税金も社会保険料もきっちり引かれている人が「障害者は優遇されすぎ」という情報を目にしたとき、どう感じるか。正直、その怒りは無理もないと思う。おかしいと感じる気持ちを、俺は責める気になれない。

怒りをぶつけてくる人の全員が悪人なわけじゃない。

制度の仕組みや背景を知らないまま数字だけ見れば、そう感じて当然だ。むしろ知れば知るほど、批判したくなる気持ちはわかる。俺自身が当事者でなければ、同じ側に立っていたかもしれない。

ただ、見えていない部分がある。それだけだ。

これは備えと体、その引き換えにもらっているものだ

障害年金は長年納めてきた年金があってこそ、労災は建設業として働いてきた日々があってこそもらえている。就労不能保険も、事故に備えて自分で準備していたものだ。

若い頃から働いて積み上げてきたものが、形を変えて戻ってきているにすぎない。

そしてその全ては、体と引き換えだ。

40歳まで普通に働いていた人間が、ある日突然「障害者」になった。

収入が保障されても、失ったものの方が正直多い。自由に動ける体、仕事のやりがい、健常者として当たり前に生きていた自分。

朝起きて「今日も普通に歩ける」と思える日常を、もう取り戻せない。

妬む気持ちはわかる。

でも「障害者になりたいか」と聞かれたら、誰もがNOと答えるはずだ。

優遇されているのは事実だが、それと引き換えに何を失ったかは、数字には出てこない。


だからこそ、自覚を持ちながら生きたい

障害者が権利を主張することは正当だと思っている。制度は使うためにある。

ただ、自分が受けている恩恵を「当たり前」と感じたまま、健常者に配慮だけを求め続けるのは、どこかバランスが悪い気がする。

社会に支えてもらっている部分がある。

その自覚を持ちながら、譲れる部分は譲る。そういう姿勢が、対立を少し和らげるんじゃないかと、障害者の俺は思っている。

結論は出さない。

ただ、当事者として一度正直に書いておきたかった。


【補足】配当控除について

この記事を書くにあたって、配当控除の仕組みを国税庁のサイトや複数の税務情報サイトで確認した。俺のように課税所得が低い人間が確定申告で総合課税を選ぶと、源泉徴収された約20%の税金のほとんどが還付される仕組みになっている。

ただし注意点が2つある。VYMやVIGなどの米国ETFの分配金は外国法人からの配当になるため配当控除の対象外であること。そして総合課税を選ぶと住民税にも反映され、国民健康保険料が上がる可能性があること。自分の状況に合わせて税理士や税務署に確認することをおすすめする。(2026年4月時点の情報)

※ この記事はシリーズの第1弾です。次回は「障害者 vs 健常者の対立、根っこにあるのはお互いの無知だと思う」を書く予定です。


📖 俺のこれまでの全記録を読みたい人へ
元職人→廃業→障害→どん底→投資で4,000万円——
この軌跡を一本のストーリーとしてまとめた
ヘタゴリラ一代記」をnoteで公開中です。
ブログではバラバラに書いてきた話が、時系列でつながります。

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この記事を書いた人

元・建設業の個人事業主。現在は障害年金・労災年金・就業不能保険を活用しながら、配当金を軸に“無理のない自立生活”を目指す50代男性です。
配当投資、住宅ローン、保険の見直しなど、障害と向き合う中で学んだ「お金と生き方」のリアルを発信しています。

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