減配で売った3銘柄、手放したその株が全部上がった。それでも後悔しない素人投資家の哲学

2026年4月10日、タマホームが減配を発表した。

196円の予想配当が、125円に修正された。約36%、金額にして71円の減額だ。9期連続増配を続けてきた会社が、初めて大きく配当を削った日。投資家コミュニティはざわついた。

「売るべきか」「待つべきか」「これは一時的か」——SNSにはそんな声が溢れた。

俺には答えがない。いや、正確に言うと「答えがあるふりをするつもりがない」。

減配が来たときの完璧な正解を知っている人間がいるなら、株式投資で失敗する人はいない。みんな正解を知りたくて動くけど、正解なんてのは後からしかわからない。

ただ、俺には経験がある。ルール通りに動いて、それでも上がった株を3本、手放した経験が。

その話をする。


目次

俺が高配当投資をしている理由は、株価が読めないからだ

最初に言っておく。俺は素人だ。

元足場職人で、6メートルから落ちて障害を負って、廃業して、ゼロから投資を始めた人間だ。チャートの読み方も、テクニカル分析も、マクロ経済の見通しも、正直よくわからない。

だから株価は追わない。追えないから、というのが本音だ。

でも配当なら、ある程度読める。業績が安定していて、配当性向に余裕があって、増配の実績がある企業なら、来年も再来年も同じくらいの配当が入ってくる可能性は高い。株価は毎日動くが、配当は年に1〜2回しか動かない。しかも急に大きくは動きにくい。

「読めないものを追うより、読めるものを積み上げろ」——それが俺の高配当投資の出発点だ。

現在の年間配当は税引前で約115万円(初の100万円超)。資産は4,182万円になった。ゼロから始めてここまで来た。完璧な投資家じゃない。でも自分なりの哲学で動いてきた結果だ。

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俺の減配ルール——基本は「一度でも売り」

俺には減配に関してシンプルなルールがある。

基本:減配したら売る

一度の減配でも、原則として売る。ただし例外がある。決算を読んで「これは一時的だ」「来期には戻る見通しがある」「業績の割に配当性向にまだ余裕がある」と判断できた場合は、保有を続けることもある。

二度目:問答無用で売る

一度許しても、二度目の減配は売る。それがルールだ。

もう一つある。株価が上がっていても、増配をしない・減配する銘柄は売る。

株価が上がることより、配当が育つことの方が俺には重要だ。増配し続ける企業は、業績が伴っていて、株主を大切にしている。それが俺の選ぶ理由だ。

「株価が上がっていても、配当との約束を破る企業とは付き合えない」——これが素人なりの一本筋だ。

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3銘柄の実体験——ルール通りに売って、3銘柄とも上がった

俺はこれまでに減配をきっかけに3銘柄を手放した。信和(3447)、クミアイ化学工業(4996)、デンカ(4061)だ。そして3銘柄とも、俺が売った後に株価が上がった。

信和(3447)

仮設資材・足場関連の会社だ。元足場職人として親しみを持って選んだ銘柄でもある。ピーク時に44円あった配当が、32円まで落ちた。約27%の減配だ。俺はルールに従って680円で売却した。現在の株価は900円。32%上昇した。

クミアイ化学工業(4996)

農薬大手だ。主力除草剤のジェネリック対策と為替差損が直撃して、34円から22円へ約35%の減配となった。俺は670円で手放した。現在の株価は780円。16%上昇した。

デンカ(4061)

化学メーカーだ。世界経済の急減速で主力製品の需要が激減し、145円から100円へ約31%の減配となった。俺は2,500円で売却した。現在の株価は4,000円。60%上昇した。

銘柄売却値現在値上昇率
信和680円900円+32%
クミアイ化学670円780円+16%
デンカ2,500円4,000円+60%

これが俺の失敗談か?——違う。俺はそう思っていない。


それでも後悔していない理由

一つ目。根拠のある感情で動いたから。

感情だけで売ったわけじゃない。決算を読んで、「これだけ配当性向に余裕があるのに、なぜ減配するんだ」と判断した。その上で許せないと感じて売った。感情と判断が両方乗っている。結果論で言えば機会損失だ。でもあの時点での判断として、俺は間違えていない。

二つ目。今の保有銘柄がちゃんと育っているから。

3銘柄を売った後、その資金は別の銘柄に回った。今の保有には三菱UFJ、三井住友、オリックス、東京海上といった主力がある。含み益はしっかり出ている。売った先が死んでいたら後悔するかもしれない。でも今の畑が豊作なら、あの土地を去ったことへの悔いは薄れる。

そして実は、もう一つ言いたいことがある。「企業は合理的な判断をしていた」と今なら思う。

信和もクミアイ化学もデンカも、減配した後に業績が回復した。企業は正しかった。俺は感情で「許せない」と判断して売った。でも俺は後悔していない。なぜなら、俺は高配当投資家だから。

株価を追う投資家なら、企業の合理的判断に乗っかればいい。でも俺は配当との約束を買っている。その約束が破られたら、感情的になっていいと思っている。「投資家としてはダメかもしれない。でも高配当投資家としてはアリな感情だ」——そう割り切っている。


タマホームを俺が避けた理由——正直に言う

俺はタマホームを持っていない。理由を正直に言う。カッコいい話じゃない。

職人時代、俺はタマホームの仕事を受けていた。安い金額で受けさせられて、そのくせ足場の仕様にはやたらうるさい企業だった。職人として、あまりいい思いをしなかった。だから投資家になった時、直感的に思った。「絶対に株主を裏切るような企業だ」と。——ただ自分が嫌な思いをしたという理由で、だ。笑

客観的に見れば、タマホームの企業体制はおかしくない。株主の方を向いて9期連続増配を続けてきた姿勢は本物だった。でも俺はどうも好きになれなかった。

ただ結果として、その「嫌い」という感情が正しい判断につながった。

業績が落ちているのに増配を続けた末の配当性向382.4%。利益の3倍以上を配当に回す無理は、どこかで必ずひずみが出る。今回の36%減配は、そのひずみが表面に出た瞬間だった。

「嫌いな理由が、投資判断として正しかった」——これは自慢じゃなく、偶然だ。でも笑える偶然だと思っている。


株価が下がっても売らない株がある——配当と財務が語る企業の本音

俺は今、業績も株価も厳しい状況にある銘柄を保有し続けている。アステラス製薬(4503)と日本フラッシュ(7820)だ。

アステラス製薬はここ数年業績が落ち込み、株価も大きく下がった時期があった。それでも俺は売らなかった。配当を維持し続けていたからだ。結果として業績も株価も持ち直してきた。

日本フラッシュは今も絶賛下落中だ。業績も株価も下がり続けている。それでも俺は持ち続けている。買い増しさえしている。

理由がある。自己資本比率が高く、無借金に近い財務状況だ。そして配当を維持し続けている。約束を守っている。中国依存が強かったところに中国不況の直撃を受けたが、ドバイや台湾への販売先分散を始めた。その動きを見て、俺は「信じるに値する」と判断した。

タマホーム日本フラッシュ
業績悪化悪化
配当増配→大幅減配維持継続
財務配当性向382.4%自己資本高・無借金
ゴリ先輩の判断事前に避けた買い増し継続

「業績が悪い企業」と「約束を守れない企業」は、別物だ。

ただし、これが正しいとは言っていない。日本フラッシュが俺の期待通りに回復するかどうか、わからない。それでも今の俺は信じると決めた。根拠を持って、感情も乗せて、持ち続けると決めた。

「正しいかどうかじゃない。信じるに値するかどうかだ」——これが株価じゃなく配当を見る投資家の判断軸だ。


俺が揺れていること、正直に書く

ここまで書いてきて、自分でも気づいていることがある。俺のルールは完璧じゃない。

「決算を読んで判断する」と言っても、俺は大して決算が読めるわけじゃない。業績が来季明るそうかどうか、配当性向に余裕があるかどうか、その程度の判断だ。感情的な部分が多い。だから売った後に上がる株が出る。企業は合理的で、俺は感情的だ。その差が株価の上昇として現れる。

でも俺はそれでいい、と思っている。

「正解がないから投資は難しい。だから面白い」——これが今の俺の結論だ。

ルールを持て。哲学を持て。でもそれが万能だと思うな。自分のルールと哲学で動いた結果なら、上がっても下がっても後悔しない。それが高配当投資家として生き残るための、俺なりの答えだ。

感情で動くな、とは言わない。でも自分のルールで動け。後悔はそこにしかない。


投資は企業との人間関係だ

投資って、人間関係に似ていると思う。株価が上がりやすい銘柄でも、信用できない企業には投資したくない。心情的に持ちたくならない。それだけの話だ。

例えば任天堂。俺は買わない。任天堂が悪い企業だとは思っていない。世界的なコンテンツを持ち、現金を膨大に積み上げている。事業としては超一流だ。でも配当の履歴を見ると、減配を繰り返してきた。俺には「こちらを見ていない」と感じる企業だ。

社員に手厚いのかもしれない。研究開発に惜しみなく投資しているのかもしれない。任天堂は株主より別の誰かに誠実な企業なのかもしれない。それが悪いとは言えない。ただ俺への誠実さじゃないから、俺は付き合わない。それだけだ。

配当を守り続ける企業は、俺への約束を守り続けている企業だ。業績が悪くても財務を崩さず配当を維持する企業は、苦しい時でも俺の方を向いてくれている企業だ。そういう企業と長く付き合いたい。

「投資は企業との人間関係だ。株価より信頼を選ぶ。それが俺のやり方だ」

ただし、人間関係と決定的に違う点が一つある。株は何股もかけていい。むしろ、かけるべきだ。どれだけ信頼できる企業でも、一社に集中すればリスクをまともに食らう。だから30銘柄以上に分散する。信頼できる企業を選ぶ目を磨きながら、それでも予測できないことへの備えを怠らない。

「一途に一社を信じるのが人間関係。でも投資は何股もかけるべきだ。予測できないから、分散で備える」——これが俺の基本ルールだ。

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まとめ

  • 高配当投資は「株価を読む」投資じゃない。「配当との約束を買う」投資だ
  • 減配は企業の合理的判断かもしれない。でも高配当投資家にとっては「約束違反」と感じていい
  • 大切なのは「後悔しない判断軸を持つこと」。軸があれば、上がっても下がっても前を向ける
  • 「業績が悪い企業」と「約束を守れない企業」は別物だ。配当と財務の中身を見ろ
  • 投資は企業との人間関係だ。株価より信頼を選ぶ。そして分散を怠るな

📖 俺のこれまでの全記録を読みたい人へ
元職人→廃業→障害→どん底→投資で4,000万円——
この軌跡を一本のストーリーとしてまとめた
それでも俺は生きている ― ヘタな仮設屋の、笑えるけど刺さる30年 ―」をnoteで公開中です。
note: hetagorilla

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この記事を書いた人

元・建設業の個人事業主。現在は障害年金・労災年金・就業不能保険を活用しながら、配当金を軸に“無理のない自立生活”を目指す50代男性です。
配当投資、住宅ローン、保険の見直しなど、障害と向き合う中で学んだ「お金と生き方」のリアルを発信しています。

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