「後悔しない無敵の指南書 第二章④」——稼いだ後の人生設計編| 職人の体は資産だ——使い捨てにするな

これまでの話をまとめるとこうだ。

セカンドキャリアの準備をしろ。軍資金を作れ。順番を間違えるな——。

でもその全ての前提になる話を、まだしていなかった。

体が動かなければ、何も始まらない。

現場を降りるタイミングを「自分で決める」ためには、体が動ける期間を少しでも長くすることが必要だ。計画を立てても、資金を貯めても、体が先に壊れたら全部止まる。俺がそうだった。

今回は体のメンテナンスの話をする。


目次

俺の話——6メートルから落ちて気づいたこと

40代で足場から落ちた。高さ6メートル。脊髄を損傷した。

今俺は両下肢に障害がある。歩くにはクラッチ杖が必要だ。現場には二度と立てない。

現役の頃、体のケアをしていたか。ストレッチをしていたか。疲れが取れないまま翌日の現場に出ていなかったか。答えは全部「やっていなかった」だ。

体は資本だとわかっていた。でも消耗品のように使っていた。

体は資産だ。資産はメンテナンスしなければ価値が下がる。


建設業の体へのダメージは蓄積する

現場仕事は体に負担をかける。これは誰でも知っている。でも若いうちは回復力があるから、そのダメージに気づきにくい。

問題は40代以降だ。20〜30代に積み重ねたダメージが、40代になって一気に出てくる。腰痛、膝痛、肩の故障——「急に痛くなった」と思っても、実際は何年もかけて蓄積したダメージが限界を超えた結果だ。

腰痛——重いものを持ち続けること、前傾姿勢での作業が原因。建設業の職人の約60%が腰痛を経験するというデータがある。

俺の知り合いの話をする。鉄骨の上でヘルニアを発症して、突然動けなくなった。高所での救助が必要になった。高所で体が動かなくなる——これが現場の腰痛の怖さだ。

膝の故障——しゃがみ動作、階段の上り下り、不安定な足場での作業が積み重なる。

俺自身の話をする。30代の頃、膝に水が溜まる癖がついた。しょっちゅう整形外科に行って水を抜いていた。「また溜まった」「また抜きに行く」——それが日常になっていた。あの頃から体は限界のサインを出していた。でも当時は「仕方ない」と流していた。

肩・首の故障——高所作業での見上げ姿勢、重い工具の使用が原因になりやすい。

俺の話をする。30代から左肩が右肩より上がらない。俺は左利きで、ハンマーを振り続けた年数が積み重なったのか、現場仕事の積み重ねが肩に残っている。

これらは「急に発症する」のではなく「じわじわ蓄積して限界を超えた瞬間に出る」ものだ。だからこそ現役中から予防的にケアすることが現役寿命を大きく左右する。

そしてここで第三回の話と繋がる。酒とタバコだ。

体のダメージが蓄積している現場仕事をしながら、さらに酒で肝臓に負担をかけ、タバコで肺機能を落とす。体が資本の仕事をしながら、その体を自分で削っている。

体を守ることと、酒タバコをやめることは、セットで考えてほしい。


俺が障害を持ちながら続けている筋トレ

今の俺は下半身に障害がある。両足で地面を踏めない。でも毎日2時間、上半身の筋トレを続けている。

1日のメニューは5種目だ。

  • ディップス(加重あり)
  • ダンベルプレス
  • 腹筋ローラー
  • 腕立て伏せ
  • 補助つきスクワット

この5種目をセットにして、3パターンを毎日ローテーションしている。下半身障害を持つ50代の話だ。

「障害があるから筋トレができない」という言い訳は、俺には通用しない。下半身が動かなくても、上半身は動く。動く部位は全力で鍛える。それだけだ。

現役の職人に言いたいのはこういうことだ。

あなたは今、俺より自由に体を動かせる。その体を、なぜ鍛えないのか。

現場仕事をしているから体は大丈夫——そう思っているなら、それは錯覚だ。現場で使う筋肉しか維持できていない。体幹や補助筋は落ちていく。それが怪我のリスクを上げる。


現役職人が今日からできること

難しいことは言わない。今日からできることを3つだけ書く。

① ストレッチを習慣にする

現場仕事の後、体が疲れているのはわかる。でも5分だけでいい。腰・股関節・肩周りを伸ばすだけで、翌日の体の状態が変わる。特に腸腰筋のストレッチは建設業の職人にとって最優先だ。やり方はYouTubeで「腸腰筋 ストレッチ」と検索すれば無料で学べる。

② 体幹を鍛える

腰痛・膝痛の多くは体幹の弱さが根本原因だ。プランクを毎日30秒から始めるだけでいい。道具も金もいらない。慣れてきたら時間を伸ばしていけばいい。

③ 睡眠と栄養を軽視するな

体の回復は寝ている間に起きる。7時間を目安に確保してほしい。

断言する。将来のことに本気を出せば、睡眠を削らなくても絶対にできる。

睡眠を削って副業をするのは間違いだ。睡眠不足では判断力が落ちる。現場での怪我のリスクも上がる。体を壊せば全部止まる。7時間寝た上で動け。それが絶対に正しい順番だ。

タンパク質も意識してほしい。体重×1.5〜2g程度が目安だ。体重70kgなら1日100〜140g。食事だけで取りにくければプロテインを活用していい。


30・40代の体調管理をバカにするな

体の数値が正直に出てくる年代だ。

20〜30代は血液検査の数値も「まあ大丈夫」で済むことが多い。でも40代になると、LDL・血圧・血糖値・肝機能が正直に出てくる。

建設業の個人事業主・一人親方は、健康診断を受けない人間が多い。

会社員なら年1回の健康診断が義務だ。でも個人事業主には義務がない。「忙しい」「お金がかかる」——そうやって何年も受けないまま過ごす。

俺もそうだった。健康診断をまともに受けるようになったのは、事故で廃業してからだ。現役中は一度も受けていなかった。

もし今、健康診断を何年も受けていないなら、今すぐ予約してほしい。個人事業主でも国民健康保険の特定健診(40歳以上)を自治体で受けられる。費用は数百円〜数千円程度だ。

早期発見が現役寿命を守る最大の武器だ。

現場の人間は痛みに慣れている。でもその我慢が積み重なって、限界を超えた時に取り返しのつかないことになる。痛みは体からのサインだ。無視するな。


体のメンテナンスはセカンドキャリアへの投資だ

第二回でクレーンオペレーターと内装・リフォーム業を勧めた第三回で軍資金の作り方を書いた

でもその全ての前提として、体が動いていることが必要だ。

体を守ることは、セカンドキャリアへの投資だ。ストレッチに使う5分、体幹トレーニングの30秒、睡眠の7時間——これらは「現場を長く続けるための投資」であり「セカンドキャリアの選択肢を守るための投資」だ。

俺は体を壊してから全部考えた。だから時間がかかった。あなたには、壊れる前に考えてほしい。

体は資産だ。資産は守り、育てるものだ。使い捨てにするな。


セカンドキャリアが怖い人こそ、まず体から始めろ

まず体のメンテナンスだけ始めてほしい。ストレッチでもいい。プランクでもいい。今日から5分だけでいい。

そして酒とタバコをやめてほしい。

簡単に言うなと思われるかもしれない。でも簡単に言う。やめてください。それだけです。

この二つをやめることができたら——それだけで相当な自信になる。「俺はやめられた」という実績が、次のステップへの踏み台になる。習慣を変える力があることを、自分自身に証明できるからだ。

毎日完璧にこなそうとするから続かない。できる日にできることをやる。それを積み重ねていけば、半年後・1年後に確実に前に進んでいる。

体を整えることが、人生を整える第一歩だ。


📖 俺のこれまでの全記録を読みたい人へ
元職人→廃業→障害→どん底→投資で4,000万円——
この軌跡を一本のストーリーとしてまとめた
それでも俺は生きている ― ヘタな仮設屋の、笑えるけど刺さる30年 ―」をnoteで公開中です。
ブログではバラバラに書いてきた話が、時系列でつながります。

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この記事を書いた人

元・建設業の個人事業主。現在は障害年金・労災年金・就業不能保険を活用しながら、配当金を軸に“無理のない自立生活”を目指す50代男性です。
配当投資、住宅ローン、保険の見直しなど、障害と向き合う中で学んだ「お金と生き方」のリアルを発信しています。

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