俺が3人の子に証券口座を作った理由——稼げなくなって気づいた「守る力」の話

俺が子どもの証券口座を作ったのは、「賢い親」でいたかったからじゃない。

稼ぐ力を失って初めて、自分にどれだけ守る力も貯める力もなかったかに気づいたからだ。

足場職人として現場を仕切っていた頃、俺は稼いでいた。なのに手元に残らなかった。パチンコ、高金利ローンの車、「お金は使うもん」という信念——20代から30代にかけて、俺はそれを「生き方」だと思っていた。

6メートルの高さから落ちて、脊髄を損傷して、廃業するまでは。

「あの頃の稼ぎが全部残っていたら、今いくらあったんだろう」

この問いが頭を離れなくなった時、俺はもう50歳に近かった。

遅すぎた気づきを、息子たちには早く届けたい。 それだけだ。


目次

ジュニアNISA——俺は乗り遅れた

ジュニアNISAに間に合わなかった。3人全員だ。

ジュニアNISAとは、2016年にスタートした18歳未満向けの少額投資非課税制度だ。年間80万円を上限に株式や投資信託を購入でき、利益が最長5年間非課税になる制度で、2023年12月末をもって廃止となった。
駆け込みで口座を作った親も多かったと聞く。俺は動けなかった。

理由は単純だ。その頃はまだ「子どもに証券口座を作る」という発想自体が俺の中になかった。稼ぐことしか考えていなかった時代の名残が、ここにも出ている。

乗り遅れたことを悔やむより、今動くことの方が大事だ。 ジュニアNISAはもう使えないが、未成年口座は今でも作れる。非課税枠はなくても、「自分のお金が市場で動く」という体験の価値は変わらない。制度を使えなかったことより、口座すら作らないことの方がずっと損だと俺は思っている。

そして、ここは知っておいてほしい。「こどもNISA(仮称)」が早ければ2027年から始まる見込みだ。

年間投資上限60万円、生涯非課税枠600万円という案が有力で、旧ジュニアNISAで不評だった「18歳まで引き出し不可」という制限が緩和され、12歳以降は子どもの同意のうえで引き出せる方向で調整が進んでいる。まだ確定ではなく、今後の議論で変わる可能性もある。

ただ、俺が思うのはこうだ。特定口座かNISAかなんて、正直どちらでもいい。

子どもの成長の糧として考えれば、どの口座で買おうが本質は変わらない。「こどもNISAが始まってから動こう」と待つより、今できる形で始めてしまった方がずっといい。なるべく早く始めてあげること——それだけだ。

(俺自身のNISA活用についてはこちら → 障害者こそNISAを使い倒すべき理由と俺のやり方


息子は3人。長男・次男(双子兄)・三男(双子弟)

うちには息子が3人いる。

  • 長男:高校1年生
  • 次男・三男:双子(中学2年生)

三者三様だが、全員に証券口座を作った。ジュニアNISA(2023年末で終了)の期間中に動けたのは長男だけだったが、それ以降も特定口座や未成年口座を活用しながら、親が買い付けるかたちで続けている。

「子どもに投資を教える」なんて高尚な話じゃない。

口座があるだけで、お金が「動くもの」として見え始める。 それだけで十分だと俺は思っている。

難しい話は後からでいい。まず「持つ」ことだ。


「親が死んでも株は残る」という考え方

これを読んでいるあなたに聞きたい。

もし明日、あなたが働けなくなったら——子どもに何が残るか、考えたことはあるか。

俺は6メートルから落ちた。あと1センチ横にズレていたら動脈だったと、医者に後から言われた。その時に初めて「俺が稼げなくなった後」をリアルに想像した。

障害年金は出る。配当もある。でも「お金を増やす仕組み」そのものを子どもに渡せるか、というのは別の話だ。

株は親が死んでも残る。

口座の名義が子ども本人になっていれば、俺が何かあっても資産の一部は子どもに直接つながっている。相続の話でも贈与の話でもない。「仕組みをいっしょに持つ」という感覚だ。

高配当株は毎年配当を出す。その配当が子どもの口座に積み上がっていく——それだけで「お金が働く」という事実を、体で覚えていく。(俺の高配当株投資の考え方はこちらにまとめている)


実際に何を買ったか、子どもの反応は

3人ともSBI証券と住信SBIネット銀行の組み合わせで口座を作っている。ただし管理方法は年齢で変わる。

長男は15歳以上なのでアプリを自分でインストールして、残高も損益も自分のスマホで確認しながら取引している。完全に自分で動ける。

次男・三男はまだ15歳未満のためアプリが作れない。カードを使ってコンビニで入金し、取引は親である俺が操作するかたちだ。SBI証券・楽天証券ともに15歳未満は親権者が取引主体になるというルールがある。知らずに「子ども自身に全部やらせよう」と思っていると詰まるので、先に知っておいた方がいい。

俺は「これを買いなさい」とは一度も言っていない。

インデックスはオルカンかS&P500、どちらかを自分で選ばせた。個別株も、簡単な誘導はしたが最終的には本人に選ばせた。買う資金も親が出したわけじゃない。お年玉や小遣いを自分で使っている。

なぜそうしたか。

「親に言われて買った株」と「自分で選んだ株」では、値動きへの向き合い方がまるで違うからだ。自分のお金が動いている。自分が選んだ。その事実が、画面を見る目を変える。

長男の口座を見てみると、2026年5月時点で資産総額11万円。評価損益は+10,831円、損益率+10.91%だ。国内株式(個別)は+23.05%、投資信託(インデックス)に至っては+38.53%になっている。大した額じゃない。でもそれでいい。

金額より、「自分で決めた」という経験の方がずっと価値がある。

3人の口座を2026年5月時点で並べると、こうなっている。

長男(高1)次男(中2・双子兄)三男(中2・双子弟)
資産総額110,036円70,547円99,727円
評価損益+10,831円-3,596円+23,987円
損益率+10.91%-4.85%+31.67%
個別株損益率+23.05%-25.99%+92.30%
投資信託損益率+38.53%+38.53%+38.53%

長男はソニーを自分で選んで買っていた。理由はPS5が好きだからだ。持っていたらソニーフィナンシャルグループのスピンオフで株を自動的に受け取っていた。「持っていたら勝手に株が増えた」——これを体で知っている。

次男は今まさに凹んでいる。Nintendo Switchが好きだから任天堂を選んだ。シンプルすぎる理由だが、「自分が知っている会社の株を買う」というのは投資の基本でもある。 個別株は-25.99%の含み損で自分のお小遣いが目に見えて減っている。でも俺はこれが一番の教材だと思っている。「なんで下がったんやろ」と自分で考え始めた時点で、もう普通の中学生じゃない。「個別株は下がった、インデックスは上がった」——この事実を体で覚えている。

三男も任天堂を持ちながら、さらに地方銀行株を選んだ。理由が面白い——「自分が預けている銀行が儲かってそうだから」だ。中学生が自分の銀行口座を見て、その銀行の株を買う。この発想は俺には正直なかった。個別株+92.30%という結果がすべてを物語っている。

同じ兄弟、同じタイミングで始めても、選んだ銘柄で結果は全然違う。親の俺から見ると、これが面白い。次男は自分で考えず三男の真似をした。三男は自分でしっかり考えて動いた。結果がそのまま性格を映している。投資の結果というのは、日々の判断の積み重ねがそのまま数字になる——それを中学生の双子が身をもって証明してしまった。

ちなみに三男が3兄弟の中で一番しっかりしている。口座の数字もそれを正直に反映している。笑えるが、笑えない話でもある。

もうひとつ面白いことがある。3人とも証券口座の現金と株の比率が、ほぼ半々になっているんだ。しかもこの口座とは別に、もともと預金している地方銀行口座があって、そちらにも同じくらいの現金を持っている。

俺が「全部証券口座に入れたらどうや」と言ったら、3人に「嫌だ、使う時は使いたい」とあっさり断られた。

思わず笑ってしまったが、よく考えたら正しい。「すぐ使えるお金」と「増やすお金」を分けて持つ——これは投資の基本中の基本だ。 誰かに教わったわけじゃない。自分のお金を管理しながら、本能的にそこに辿り着いている。

俺が20代の頃は全部使っていた。貯めるという発想すらなかった。中学生の息子たちの方が、よっぽどまともなお金の持ち方をしている。

そして、一番驚いたことがある。

息子たちがニュースに反応するようになった。

Nintendo Switchがメモリの高騰で値上げするというニュースを見て、「任天堂やばいんちゃう」と言った。金利上昇で銀行の利息が上がるニュースを見て、「銀行株上がるんちゃう」と反応した。

これは俺が株を始めた時にまったく同じ現象が起きた。ニュースが他人事じゃなくなる。世の中の動きが自分のお金と直結して見え始める。

株を持つと、世界の見え方が変わる。

それがこの歳で起きている。中学生が経済ニュースに自分ごととして反応している。俺はこれが一番すごいことだと思っている。知識より先に、「気にする習慣」が身についている。これは大人になってからじゃなかなか作れない。

本音を言えば、もっと分散しろとか、言いたいことはある。でも黙っている。失敗したらいい。小さい失敗をたくさんすればいい。次男の含み損も、俺にとっては想定内だ。自分のお金が減る痛みを、この歳で体で覚えておくことの方が、親が口を出すことより何倍も価値がある。

プラスもあればマイナスもある。でも全員が「自分のお金が市場で動いている」という事実の中にいる。それで十分だ。

俺が20代の頃に誰かが口座を作ってくれて、「お前が選んでいい」と言ってくれていたら——きっと俺の人生は少し違っていた。


読者へ——あなたの後悔を、子どもに引き継がなくていい

俺がヘタゴリラと名乗っているのは、稼ぐ力は人並み以上にあったのに、お金を守ること・増やすことが壊滅的にヘタだったからだ。

職人として現場を仕切れても、お金の世界では完全な素人だった。

その代償は大きかった。数字にすると怖くて出せないが、「守っていれば今どれだけ残っていたか」という逆算をすると、それは億に近い話になる。

でも今更嘆いても仕方ない。俺にできることは二つだ。

ひとつは、今から自分の資産を守り続けること。
もうひとつは、息子たちにその後悔を引き継がせないこと

子どもに親が教えられることは少ない。人生経験も、正解も、全部は渡せない。でも「早く気づく環境」は作れる。口座を作るのはその第一歩にすぎないが、第一歩は確かに存在する。

子育て中の投資家のあなたへ。

口座開設に迷っているなら、証券会社と銀行をセットで選ぶのが基本だ。使いやすいのはこの二択。

  • SBI証券 + 住信SBIネット銀行:コンビニから入金できる。子どもが自分の足で動ける。
  • 楽天証券 + 楽天銀行:楽天経済圏を使っている家庭なら馴染みやすい。

どちらもスマホアプリで残高も損益も一目で見える。仕組みはシンプルな方がいい。うちはSBIを選んだが、正直どちらでも大差ない。まず口座を作ることの方がずっと大事だ。

「まだ早い」と思っているなら、少し立ち止まって考えてほしい。金融リテラシーは稼ぎ始めてから身につけようとしても遅い。社会に出る前、お金を手にする前に、「守る・増やす・考える」という習慣の入口だけでも作っておくこと——それが親にできる、数少ない「仕込み」だと俺は思っている。

(俺が月1万円から始めた高配当株投資の話 → 月1万で始める高配当株——20代の俺が知りたかったこと

あなたは子どもに、何を早く気づかせたいか。


📖 俺のこれまでの全記録を読みたい人へ

元職人→廃業→障害→どん底→投資で4,000万円超——
この軌跡を一本のストーリーとしてまとめた
それでも俺は生きている ― ヘタな仮設屋の、笑えるけど刺さる30年 ―」をnoteで公開中です。

ブログではバラバラに書いてきた話が、時系列でつながります。

👉 それでも俺は生きている ― ヘタな仮設屋の、笑えるけど刺さる30年 ―をnoteで読む

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この記事を書いた人

元・建設業の個人事業主。現在は障害年金・労災年金・就業不能保険を活用しながら、配当金を軸に“無理のない自立生活”を目指す50代男性です。
配当投資、住宅ローン、保険の見直しなど、障害と向き合う中で学んだ「お金と生き方」のリアルを発信しています。

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