2018年、俺は1200万円を9本の外貨建て終身保険に一括で突っ込んだ。「老後にも学費にも備えられる」という言葉を信じて。内容もリスクも理解しないまま。それが今でも後悔している決断だ。
障害を負ったその日、1200万円を保険に預けた
障害を負い、働けなくなった直後──俺は不安と混乱の中で老後をどう過ごすかばかりを考えていた。生活が成り立つのか、家族を支えられるのか、自分にできることは何か。
そのとき、以前から付き合いのあった保険担当者の方に声をかけられたのだ。
「外貨建て終身保険に今入っておけば、老後の備えになりますよ」
その言葉にすがるように、2018年、俺は1200万円という大きなお金を9本の外貨建て終身保険に一括で預ける決断をした。当時はまったく内容を理解していなかった。
ただ、
「動けない俺に代わって、色々な手続きをしてくれた」
「妻の不安にも寄り添ってくれた」
その誠実さに救われ、つい保険に申し込んでしまったのだ。
ちなみに保険の担当者には「老後の安心にも、学費の備えにも使える」と言われた。「せめてもの安心を」という気持ちで、言われるままに契約したのが正直なところだ。
関連記事だ。
正直に言う──今も後悔している

この外貨建て保険は、「老後の安心」を謳って販売された。
だが、俺自身は内容もリスクもよく理解しないまま契約していた。
- 解約返戻率の低さ
- ドル建てであること
- 為替リスクがあること
- 長期保有しないと元本割れの可能性があること
──すべて、加入後に初めて知ったことだ。
そして、もうひとつ正直に書く。
現在この保険の評価額は約1780万円になっている。1200万円が増えているように見える。
だが、これは外貨建て保険の実力ではまったくない。
数字で見れば一目瞭然だ。
加入した2018年当時の為替レートは1ドル111円台。1200万円を投じると、ドル換算で約$108,000になる。
8年後の2026年現在、解約返戻金はドルベースで約$108,591。
8年間のドル実質増加は、わずか+0.45%。ほぼゼロだ。
それでも円換算で1780万円に見えるのは、為替が111円から最高160円台へと大幅な円安になったからに過ぎない。
もし円高に戻れば、評価額は一気に下がり、元本割れのリスクさえある。
これが外貨建て保険の本質的なリスクだ。今まさに俺はそれを身をもって実感している。
円安の今のうちに解約すべきか、今も悩んでいる。
正直に言えば、「無知だったこと」こそが最大の問題だった。
そして今も、この保険を
「解約すべきか」
「老後の備えとして持ち続けるべきか」
ずっと悩み続けている。
損失覚悟で手放すか、我慢して継続するか……決断しきれない自分に、もどかしささえ感じている。
なぜあのとき、1200万円を動かしてしまったのか
当時の俺には収入の柱として、障害年金・労災年金・就業不能保険があった。
ただ、そのうちの就業不能保険は当時20年で終了する見込みであり、その先の生活に対する不安が常に心にあった。収入を補う手段として、投資も考えてはいたが、株の知識がまったくなかった俺は大きな金額をリスクに晒すことができなかった。
もうひとつ、重要な背景がある。
このお金は、子どもの学費として10年後に使う予定のお金だった。
15年以上の長期投資なら株式でリスクを取れる。だが、10年という期限のある現金は話が違う。
10年では株式の値動きリスクを吸収しきれず、「必要なときに暴落していたら終わり」という恐怖があった。
期限のある現金をどう置くか——そこに株式投資という選択肢は取りにくかった。
だから「確実に返ってくる」という言葉に安心を求めてしまったのだ。
リスクを取りたくなかった俺だが為替のリスクを背負わされていることには全く気づかずに・・・
今になって思えば、投資と保険の“違い”もよく分かっていなかった。
保険は「安心を買う」もの。投資は「リスクを取って増やす」もの。そう思っていたが、改めて理解を深めていくと、この保険に関してはリスクだけ背負わされて、リターンは少ないように感じた。
この違いを正しく理解していれば、もう少し冷静に選択できたのではないか──そんな思いが今も残っている。
それでも担当者に感謝している理由

ここで誤解してほしくないのは、保険担当者が悪意を持って勧めてきたわけではないということ。
障害直後、動けなかった俺に代わって各種の書類手続きや相談をしてくれたのは本当にありがたいことだった。妻の精神的負担も軽減され、その部分には今でも感謝している。
ただ、「助けてもらったこと」と「正しい選択ができたかどうか」は別の話。
人としての信頼と、金融商品の妥当性は、切り分けて考える必要がある。
この経験を通じて、俺はそう実感した。
関連記事だ。
保険に入る前に知っておくべき4つの視点
この経験を通じて俺が学んだことを、4つにまとめた。
- 保険の中身は「自分で理解」することが必須
- 外貨建て・終身保険=安全とは限らない。為替リスクを伴う
- 信頼できる人がいても、最終判断は「自分の責任」
- 保険と投資は、目的も性質も「別もの」として考える
特に「外貨建て」や「終身型」という言葉に安心してしまう方は要注意だ。
長期保有しても、為替やインフレにより「思っていたほど戻らない」ケースも多くある。
「配当金」という別の答えにたどり着いた
現在の俺は、インフレリスクや老後の生活設計を踏まえ、
「自分で育てる収入源」として、株式の配当金を重視
するようになった。
保険や年金収入だけでは、生活の質を守るのが難しい。
だからこそ「リスクと向き合いながら収入をつくる」という投資の考え方に、少しずつシフトしてきた。
関連記事だ。
もし今、誰かに「家族の備えを考えている」と相談されたら──
- まずは自分の支出と資産を把握する
- 公的制度(年金や保障)のカバー範囲を知る
- 保険 or 投資、それぞれの役割と性質を比較する
- 決断は「感情」ではなく「理解」によって行う
──この4つを大切にしてほしいと、俺は強く思う。
この記事を読んでいるあなたへ
今でも俺は、この保険をどうすべきか悩んでいる。
「手放した方がいい」と思う日もあれば、「いまさら損してまで…」と足が止まる日もある。
でも、その葛藤自体が「俺自身の一次情報」であり、きっと誰かにとってのヒントになると信じている。
「なんとなく安心そうだから」
「担当者が親切だから」
──その気持ちは、俺にも痛いほどわかる。
でも、“未来の自分が納得できる選択か?”という問いは、あとからではなく、最初に考えるべき問いなのだ。
あなたの選択が、後悔のないものでありますように。
この記事が、そのための一助になればうれしく思う。
📖 俺のこれまでの全記録を読みたい人へ
元職人→廃業→障害→どん底→投資で4,000万円——
この軌跡を一本のストーリーとしてまとめた
「それでも俺は生きている ― ヘタな仮設屋の、笑えるけど刺さる30年 ―」をnoteで公開中です。
→ note: hetagorilla
📖 こちらの記事も読む

コメント